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Prof. MATSUMOTO

Yoshihisa Matsumoto

課題の解決策となる発見と
成果の社会実装が、研究者の使命。

水素精製技術における「バナジウムの有用性」の発見

弊社主席研究員である松本教授は、金属材料工学の専門家であり、水素脆化現象の研究に長年携わっていました。HN水素精製技術のベースとなったその研究は約17年間、大分高専で続けられ、その成果が世界最先端技術となっています。松本教授は現在、水素精製技術の世界的権威と見なされ、アジアを中心に多くの技術相談が寄せられています。
松本「もともとの研究テーマは、水素による脆化が起こりにくい、より強い合金の開発でした。まずリストアップしたのは、強靱で耐食性がある第5族元素のニオブです。10年以上、水素との相性を観察しましたが、水素に対して過敏で扱いにくいところがありました。また、ブラジルが主な生産地で価格決定権を持っているところもネックだと感じました」
次に着目したのが、バナジウム。化学周期表を見ればわかりますが、ニオブのすぐ上、同じ第5族に属します。
松本「バナジウムは、第5族の特性は変わらず、それでいて水素に対して敏感ではない。また、国内で調達しやすくコストを抑えられるのも魅力ですね」
研究を続けるうちに、松本教授は、パラジウムの約10倍という、バナジウムの優れた水素透過性能に注目します。世界がまだ見つけていない水素精製技術が、バナジウムによって実現するのではないか。コストをはじめとする水素エネルギー普及の課題が一気に解決するのではないか。その着想はやがて周囲の技術者たちの興味を惹き、世界初のHN水素精製技術が生まれ、ハイドロネクスト創業へと、つながっていきました。

高専機構の社会実装への想い

2020年4月、高専ならではの優れた研究を通じて、技術に秀でた人材を育成することを目的に「教授・高専機構 GEAR 5.0プロジェクト」がスタートしました。松本教授は、GEAR 5.0を礎として、高専機構が今後さらに社会実装を果たすことに大きな期待を寄せています。
松本「産学連携や研究成果の社会実装を念頭に置いているGEAR 5.0は、つまり、高専が社会との接点を増やすことで、高専出身の研究者を社会に育てていただくためのプロジェクトだと思います。かつてはできにくかった産学連携も、2004年の独立行政法人化で状況が変わりました。今の高専は、むしろ積極的に多くの企業と共同研究を進めることができていて、それが大学との違いとなっています」
これからの高専は、どのような役割を果たしていくべきでしょうか。松本教授にそう問いかけると、このような答えが返ってきました。
松本「高専はいわばソーシャル・ドクター(社会の医者)です。社会課題を具体的に認識し、その解決策として、研究成果を社会に提示していく。それが社会実装であり、高専に求められる役割だと思います。大分高専の学内にはハイドロネクストとの産学連携研究室 K-Teamが設けられていますが、学生たちは『協力してくれる企業が大分にあるんだ』と喜び、その目がイキイキしています。研究が日の目を見るという期待と、手は抜けないという重圧。そういう環境でこそ、社会実装を先導する優れた研究者が育つのだと思います。そういう研究者を中心に、HN水素精製技術を地域の、ひいては日本の基幹産業として育て上げ、私たちの故郷・故国に貢献することができればうれしいですね」

実績

  • 2019年 日本MRS 貢献賞「日本MRS 貢献賞 超高純度の水素を安価に精製する金属膜の技術 −その社会実装に向けての取組み−」
  • 2018年 日本金属学会 技術開発賞「バナジウム合金膜を用いた大容量超高純度水素分離デバイスの開発」
  • 2017年 第65回 日本金属学会論文賞 工業材料部門「Anoumalous Temperature Dependence of Hydrogen Permeability through Palladium-Silver Binary Alloy Membrane and Its Analysis Based on Hydrogen Chemical Potential」
  • 2016年 第18回九州工学教育協会賞「七島藺自動織機の改良事業を通した地域再生と実践工学教育」
  • 2015年 平成26年度国立高等専門学校 教員顕彰 一般部門国立高等専門学校機構理事長賞「実践的教育研究の有機的連携による地域再生への貢献」
  • 2014年 日本塑性加工学会 技術開発賞「半導体機器ヒートシンク用Cr-Cu複合材料の開発」